食生活

マクロビオティックとは?

マクロビオティック

「マクロビオティック」という言葉をご存知ですか?

トム・クルーズやマドンナをはじめとするハリウッドスターや有名アーティストなど、美と健康を追求する海外のセレブリティの中にもマクロビ実践者がいるということで、注目を集めています。

健康に関心のある方ならもうご存知かと思われますが、「名前は聞いたことがあるけれど具体的にはよくわからない」、という方も多いのではないでしょうか。

そんな方のために、この記事では、「マクロビオティックとは何か」をテーマに、マクロビオティックの基本やその魅力について、わかりやすく解説していきます。

マクロビオティックとは

マクロビオティックとは何か。

まずはその起源からお話します。

マクロビオティックの語源

マクロビオティック(Macrobiotic)という言葉は、「マクロ(macro)=大きい・長い」、「ビオ(bio)=生命」、「ティック(tique)=術・学」という3つの言葉から成り立っています。

古代ギリシャ語を語源とし、「長く生きるための方法」という意味をもちます。

マクロビオティックの起源

マクロビオティックという言葉のイメージから海外発祥のものだと思われがちですが、実はこれは日本人の桜沢如一(さくらざわ ゆきかず)氏(1893~1966)が提唱したものです。

基盤となるのは、明治時代の医師・薬剤師であった石塚左玄(いしづか さげん)氏(1851~1909)が提唱した「食養学」。

病弱であった桜沢氏は石塚氏の食養法によって健康を回復し、これに東洋思想の易の陰と陽の理論を組み合わせることで、“無双原理”を基軸とした「正食」を確立しました。

桜沢氏はまずフランスへと渡り、戦後も久司道夫(くし みちお)氏(1926~2014)をはじめとする弟子たちをアメリカやブラジル、ベルギーなど世界各国に送り出し、マクロビオティックの普及活動に努め、欧米を中心に世界中に広まりました。

海外では、桜沢氏はジョージ・オーサワ(George Osawa)として名が知られていたそうです。

日本においては、海外から逆輸入されるような形で、マクロビオティックが広まることになります。

マクロビオティックの特徴

マクロビオティックにおいて特徴的なのは、玄米などの穀物を主食とし、野菜や漬物などを少量、副食としていただく「玄米菜食」という食事法。

肉類や卵、乳製品は避け、植物性食品を中心に食べるので、ベジタリアンヴィーガンに近い食生活です。(ただし、場合によっては卵や白身魚、小魚等は食べてもよいとされることもあり、必ずしも動物性食品が禁止されているわけではない)

また砂糖や人工的な食品添加物は、自然との調和から外れているという理由で避けられます。

マクロビオティックでは、玄米のような精白されていない「穀物」、つまり中庸の食材を中心に、土地や季節、またその人の体質や体調に合ったものを少量いただくことで陰陽のバランスを整えることが、健康の礎だとされています。

そして、マクロビオティックが三大理念として掲げているのが、「身土不二」「一物全体」「陰陽調和」です。

身土不二

「身土不二(しんどふじ)」は、仏教用語としても使われる言葉ですが、食養においてはその土地で採れる季節に合ったものを食べるということです。(※仏教用語の場合は「しんどふに」)

私たちと暮らしている環境は切っても切り離せません。

暖かい地域で採れる食材は体を冷やし、寒い地域で採れる食材は体を温める働きがあるため、住んでいる土地の季節の旬なものを食べていると、自然と陰陽のバランスが整うという考え方です。

一物全体

「一物全体(いちぶつぜんたい)」は一つの物を丸ごと全体をいただくということです。

全ての食材は丸ごと全体でバランスがとれており、その命を余すことなくいただくことが大切だと考えられています。

皮や葉、根から種まで全て丸ごと調理して食べます。

陰陽調和

マクロビオティックでは、すべてものを陰性と陽性に分けて考えられます。

陰性の食べ物は天に向かって伸び、体を冷やす作用があり、陽性の食べ物は地に根を張って伸び、体を温める作用があるとされています。

住んでいる土地の環境や季節、またその人の体質に合わせて、食材の陰と陽の特性を活かし、中庸に近づけていきます。

あくまで目安ですが、食べ物における陰と陽の特性は以下の通りです。

陰性の特性 陽性の特性
冷やす 温める
緩める 引き締める
植物性食品 動物性食品
暑い地域で育つ 寒い地域で育つ
春から夏に収穫 秋から冬に収穫
背が高い 背が低い
細長い、大きい 丸い、小さい
水分が多い 水分が少ない
甘い、酸っぱい、辛い 苦い、しょっぱい
カリウムが多い ナトリウム(塩分)が多い

ひとつの食材の中でも陰陽の法則は当てはまります。例えば、人参の葉の部分は陰性で根の部分は陽性となります。 どちらも丸ごと食べることで、陰陽の調和をはかります。

また、食材の色においても、紫→藍→青→緑→白→黄→橙→赤の順に、極陰性→陰性→中庸→陽性→極陽性と分類されます。

この他にも、調理方法によっても陰陽に分けられます。

日に干したり、長時間熱や圧力をかけて調理したものほど陽性となり、 短時間で圧力をかけずに調理したものほど陰性になる、とされています。

例えば、じっくり具材を煮込んだスープは陽性、生野菜を切っただけのサラダは陰性になります。

マクロビオティックが目指すもの

このように見てみると、マクロビオティックが目指しているのは、単なる長寿法ではなく、「自然との調和」と言えます。

体の陰と陽のバランスを中庸に整え、食べ物の命を無駄にせず余すことなくいただく、健康にも環境にも優しい生き方の実践ですね。

現代においては、海外輸入品やハウス栽培などで、一年中どんな食材でも簡単に手に入る時代になりました。

しかし、そんな便利な暮らしと引き換えに、私たちの身体のバランスは大きく乱れてしまっているのかもしれません。

まとめ

それでは今回の記事の要点をまとめます。

要点まとめ

  1. マクロビオティックは日本人の桜沢如一氏が提唱したもの
  2. マクロビオティックの特徴は「玄米菜食」を基本とする食事で、「身土不二」「一物全体」「陰陽調和」という理論のもと自然との調和を図る生き方である

マクロビオティックを本格的に実践するためには正しい知識が必要です。

皮も丸ごと調理するので、農薬が使われていないものなど、食材選びにも気を配る必要があります。

ですが、マクロビオティックは健康にも地球環境にも理にかなっている思想であり、その食事法を生活に取り入れることには、大きなメリットが期待できます。

もし興味があれば、最初は難しく考えず、白米を玄米にしてみる、週に1回からマクロビ食を取り入れてみる、など、無理なく少しずつトライしてみて、ご自身の身体の変化を感じてみてください。

参考:マクロビオティック – Wikipedia

 

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